京都について描いた本や、京都にまつわる本で著作権が切れたものをフルテキストで紹介します。
観光に来てスマホを見ているのも興ざめ、せっかくなのでスマホで京都本を読んでみましょう。
テキストは青空文庫からお借りし、読みやすいようにそれを縦書きで表示してみました。
善の研究 西田幾太郎

「哲学の道」の由来となった「哲学」ってどんなものだろう?って思ったりしますよね。こんな感じです。
スティーブジョブズほか、世界中に影響を与えたといわれる禅僧、鈴木大拙も西田の同窓でした。一時期人気のなかった京都学派も最近は再び注目されつつあります。善の研究を読む
祇園の枝垂桜 九鬼周三

短い随筆文です。周囲に見苦しい花見客がいても、土産物屋や料亭が俗悪でも、それでもなお円山公園の枝垂れ桜はすばらしいとのこと。
春の円山公園の雰囲気は現代と共通のものがあります。
祇園の枝垂桜を読む
虞美人草 夏目漱石

冒頭に雲母坂、比叡山、そして嵐山。
大原女とすれ違うことはもうないだろうけど、平八茶屋はいまでも山端にあります。
『春はものの句になりやすき京の町を、七条から一条まで横に貫つらぬいて、煙けぶ る柳の間から、温ぬくき水打つ白き布を、高野川磧に数え尽くして、長々と北にうねる路を、おおかたは二里余りも来たら、山は自から左右に逼って、脚下に奔 る潺湲(せんかん)の響も、折れるほどに曲るほどに、あるは、こなた、あるは、かなたと鳴る。山に入りて春は更ふけたるを、山を極めたらば春はまだ残る雪 に寒かろうと、見上げる峰の裾を縫うて、暗き陰に走る一条ひとすじの路に、爪上つまあがりなる向うから大原女が来る。牛が来る。京の春は牛の尿の尽きざる ほどに、長くかつ静かである。』 虞美人草を読む
檸檬 梶井基次郎

梶井基次郎は三高(現京大) 出身です。寺町の果物屋さんで檸檬を買って丸善書店へ行った主人公のとった行動とは。丸善も寺町の果物屋さんももう無くなっちゃいましたが、寺町通りはまだちょっと特別な感じのする商店街です。檸檬を読む
以下は無料ではない京都の本の紹介です。
京都の散歩みち
光明正信 塚本珪一
筆者の一人、光明氏には、ハッセルのカメラと、 古い写真をお借りしました。 奈良の散歩みち もあります。本サイトは、その多くを氏に負っています。
細雪
谷崎潤一郎
これ三冊もって京都の古い旅館に滞在なんかしたら完璧? どっぷり雰囲気を味わうべき本。谷崎潤一郎のお墓は法然院にあります。
陰翳礼讃
谷崎潤一郎
「陰翳礼讃」という言葉のほうが先行して知られている印象がありますが、谷崎による随筆文です。陰翳ある町屋の良さについて。確かに、東京に比べて京都の夜は圧倒的に暗くて、うすらぼんやりとした灯というものに美を見出している感はあります。
金閣寺
三島由紀夫
『金閣寺を焼かねばならぬ』という想念にとりつかれた男の話。三島由紀夫の『金閣寺』と『仮面の告白』は、非常に面白いと思います。
四畳半神話体系
森見登美彦
森見登美彦は京都大学農学部出身。
京大と左京区の怠惰な感じを書かせたら右に出るものはいない。「京都の京都らしさ」がすばらしく描かれていますが、この本の内容は、イーガンと左京区が四畳半で出会ったみたいな感じ。
太陽の塔
森見登美彦
京都で学生時代を過ごした人は間違いなく懐かしいだろう百万遍ローカルネタとイカ京(いかにも京大)という言葉を思い出してしまうようなイタ哀しさが楽しいです。
下鴨神社や木屋町界隈の描写が印象的な夜は短し恋せよ乙女もオススメ。
建築MAP京都
この本は古いものから新しいものまで網羅されています。京都を歩きながらヘンな建築物を見つけて、この本で探してみるがおもしろいです。
古都
川端康成
西陣織の帯問屋の娘の視点で京都の四季と名所がほぼ一年に渡って描写されます。
特に内容はないので川端文学が苦手な人でも大丈夫。気軽に京都に浸れるのがおすすめです。
すぐわかる日本の神社―『古事記』『日本書紀』で読み解く
身近なので、知っているつもりでも知らなかった知識が満載。京都パーフェクトガイドから日向大神宮の写真を提供しています。
know
野崎まど
かなり先の未来を描いたSFですが、京都を舞台にしています。
主人公は京都府庁(の位置にある情報庁)に通っている設定で、京都大学、進々堂、京都御所など、50年後も変わらないであろう場所が描かれていて、京都に詳しい人はにやにやしながら読めます。もちろんハードSFとしてもかなり面白く読めます。